そっと、はてなブログ

はてなブログのベータテストを生暖かい目で見守るブログです。

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はてなブログProでの独自ドメイン対応の前に解決しておくべきだった課題

 2/13にリリースされた、はてなブログの有料プラン「はてなブログPro」。

 この「はてなブログPro」の機能の一つとして、独自ドメインへの対応がついに可能となった。

あなただけのドメインで、はてなブログを利用してみませんか。簡単設定でブログに独自ドメインをマッピングできます。


独自ドメイン対応は、はてなダイアリーの頃から強い要望があった。しかし、現状のはてなブログに独自ドメイン機能を導入するのは、少し時期尚早だった気がする。できればその前に解決しておいて欲しい課題がいくつかあったと思うのだ。

■独自ドメイン切り替え前に付けられた、はてなブックマークはてなスターの引継ぎ

 はてなブログに独自ドメイン設定をした場合、旧URLから新URLにはリダイレクトしてくれるようだ。
 例えば、こちらのブログ。

旧) http://kyanny.hatenablog.jp/
新) http://blog.kyanny.me/


確かに、旧URLでアクセスしても新URLへリダイレクトされる。
しかし、新旧URLでのはてなブックマーク登録は統合されないようだ。したがって、はてなブックマークのエントリーページは、旧URLと新URLとで別々になってしまう。

また、はてなスターも、新旧URLで統合はされないとのこと。

  • 既についたスターは新ドメインへ引き継げない。
    • ただし今までのスターは消えてないので、独自ドメイン解除すれば元のURLに戻って、スターも参照できる。


はてなブログに付けられた はてなブックマークはてなスターも大事なストックだ。それが独自ドメインに切り替えたらフローしてしまうのでは、ちょっと残念。同じ はてな内のサービスに関しては、情報の引継ぎを考慮して欲しかった。

■「サブドメインで他人になりすませるのでは?」問題

 はてなブログでは、他人のはてなIDをサブドメインに指定できるため、なりすましが可能ではないかという危惧の声が出ていた。

 実際にトラブルが起きているにも関わらず、はてなからは「サブドメインはユーザーIDとは別のもの、と考えていますの一言しかなかった。
 そして今や独自ドメインに対応したので、「サブドメインには既存のはてなIDを他人が指定できないように制限しよう」みたいな要望は無意味なものになってしまった。もはやドメイン取得さえできれば、どんなドメイン名でもOKだからだ。
 ちなみに現時点なら、jkondo.jpドメインを取得して、xxx.jkondo.jpというブログURLで はてなブログを開設することだって可能だw

f:id:mame-tanuki:20120214222722p:plain


 この問題、確かに「サブドメインはユーザーIDとは別のもの」が結論で良いと自分も思うのだけれど、実際にトラブルも起きているのだから、はてな側からもう少し丁寧な説明があるべきだったと思う。

はてなブログ全体から検索

 現状、はてなブログ全体を検索する機能は無い。
 そこで自分は、Google カスタム検索を利用したりしている。

 しかし、独自ドメインを含めたはてなブログ全体を対象としたGoogle カスタム検索は無理だ。
 ちなみに、はてなダイアリー全体から検索する「はてなダイアリーから検索」も、Google カスタム検索を使っていると思う。

 独自ドメインを含めたはてなブログ全体を対象とした検索機能は欲しい。けれど、今のはてなにそれを期待するのは無理なのかもしれない。はてなの技術陣は、検索方面が弱い印象があるので。


nico-at
nico(id:nico-at)
はてなブログ
ぶっちゃけ一般人向けじゃないと思う。 村から孤立集落にしてどうすんだよ。
(2012/02/14 22:32:38)
link

 とにかく、ベータ版の段階で有料プラン利用をユーザーに募るって、けっこう大胆だよねw

はてなブログのサブドメイン問題~他人になりすました悪質ブログが増えるのか、それとも?~

 はてなブログはユーザーがドメインを選択する事ができる。これは、はてなが提供してきた従来のサービスとは異なる点の一つだ。

ドメインを選べます


ブログごとにドメインを設定してご利用いただけます。トップページから先は、すべてあなたの領域です。はてなID(ユーザー名)と異なるドメインを取得することも可能です。




http://hatenablog.com/

 つまり「はてなブログサブドメイン≠はてなID」だ。だから例えば私が「http://jkondo.hatenablog.com/でブログを開設することだって仕様的には可能だ。現状は早いもの勝ちなのだ。


 この状況は、従来からのはてなユーザーを戸惑わせるかもしれない。例えばid:mame-tanukiというユーザーが、id:jkondoという別のユーザーと紛らわしい「http://jkondo.hatenablog.com/」というブログ作れてしまって、はたして良いのか?それは悪意を持った人間に、他人に成りすます簡単な手段を与える事にならないのか?


Akkiesoft
あっきぃ(横浜県)
はてなブログ
ちらっと見てると、サブドメインに自分のidと違うものを付けている人って意外と少ない印象。 自分はIDと違うな、普通に名前(akkie)だった。
(2011/11/14 02:45:59)
link

daichan330
| )<daichan?
はてなブログ
他人がhttp://Akkiesoft.hatenablog.com/ とか使ってたらどう思うよってトコじゃね?まあ1アカウント3つだからサブアカまで使わないとドメイン全て網羅できないけどさ。
(2011/11/14 17:36:58)
link

Intermezzo
maya/Intermezzo
はてなブログ
自分のIDを入れたら自動で(特に断りもなく)全小文字のURIになりました。 はてなIDは小文字と大文字が区別される仕様です。 つまり"http://他人様のID.hatenablog.jp/"に……。
(2011/11/14 21:30:21)
link

 だから私も当初は、はてなブログの仕様を変更すべきだと考えていた。


mame-tanuki

サブドメインはユーザーIDとは別のもの」が公式見解 http://goo.gl/3R0kH だけど、やはり他人のはてなIDをサブドメインに指定できない仕様にすべきでは?
(2011/12/29)
link

 これに対して公式回答は単純明快だ。

(いまの仕様はわかりませんが)サブドメインは、全ドメインで1つに制限したほうがよいと思います。なりすましっぽい事ができてしまう気がします。

id:superartlife


サブドメインはユーザーIDとは別のもの、と考えています


http://blog.hatena.ne.jp/-/feedback/13208692334729889460

 「サブドメインはユーザーIDとは別のもの」。確かにその一言で問題は終わりだ。はてなブログはそういう仕様です。従来までのはてなサービスとは違います。基本的にはそれでいいのかもしれない。


 しかし、この一文だけでユーザーたち、特に問題に巻き込まれたユーザーたちの戸惑い、不満は解消されるだろうか?もっと説明が必要なのではないだろうか?


 まず、問題を整理してみよう。

■トラブル事例

 「はてなブログサブドメイン≠はてなID」によって生じたトラブルの実例を見てみよう。例えば、比較的に著名なブロガー2人がトラブルに巻き込まれている。

ただし後者の場合、はてなIDとはてなブログサブドメインとが不一致(アンダーバー"_"の有無)なので厳密には「はてなブログサブドメイン≠はてなID」問題では無いが。

 ちょっと面倒な事に「はてなブログサブドメイン≠はてなID」問題は、ユーザー同士では解決することが出来ない。例の「もとまか変態日記」の作成者が指摘しているように、一度作成された「はてなブログサブドメイン≠はてなID」なブログを削除しても同じサブドメインで新規にブログを作成することが出来ない仕様なのだ。

間違って作ってしまったブログの削除ができません。 実装予定はないのですか?

匿名


実装しました。 設定 > 詳細設定 > ブログ削除 から削除いただけます。


http://blog.hatena.ne.jp/-/feedback/12704346814673854223

ブログの削除は出来るようになったのですが、今度は削除されたブログと同じ URL で再申請しても「既に存在する ID か、利用できない ID です」というエラーになってしまいます。

匿名


現在はそのような仕様としております


http://blog.hatena.ne.jp/-/feedback/12704346814673864292

【2012/7/22追記】

何時の間にか、削除されたブログと同じ URL での再申請が可能になったようだ。

■「はてなブログサブドメイン≠はてなID」のメリット・デメリット

 ユーザーにとって「はてなブログサブドメイン≠はてなID」のメリットは何だろう?
 やはり、ブログのURLを短くシンプルなものに出来るのは魅力の一つに違いない。特に一つのアカウントで複数のブログを開設する場合。
 従来のはてなダイアリーで複数のブログを開設すると、二つ目以降のブログのURLは「d.hatena.ne.jp/アカウント名+任意の英数字」になる。これだと、ちょっと長いURLになる。
例えば、

http://d.hatena.ne.jp/mame-tanuki+tiraura/

のように。
 一方、はてなブログなら、もっと短いURLを取得する事が可能だ。
 しかも将来的には、サブドメインどころかドメイン自体を自由に指定してブログを開設できるようだ。

独自ドメインに絶対対応してください!!

匿名


いずれ独自ドメインに対応できるような設計にしています。


http://blog.hatena.ne.jp/-/feedback/13208692334729888654

つまり、例えば私が「jkondo.jp」というドメインを所有していたとすれば、「http://jkondo.jp/」というURLでブログを開設できるようになるかもしれないのだ。これは便利だ。
 独自ドメインだと、SEO効果も期待できる。


 では逆にユーザーにとって「はてなブログサブドメイン≠はてなID」のデメリットは何だろう?
 やはり上記したように、悪意を持った人間に簡単に他人になりすませる手段を与えてしまう事が、ユーザーを不安にするだろうし、上記したように実際にトラブルも発生している。


 ただ、そもそもアカウント名の文字列で個人を識別するというのは、あまり奨められる方法ではない。現状でも、はてなのユーザーアカウントは大文字小文字を区別する事を悪用して著名なユーザーと紛らわしいアカウント名を取得して混乱させるケースがよくある。
 例えば、「id:jkondo」と「id:JKondo」は、文字だけ見ると見間違いやすい。


 しかも上記したように、はてなブログが独自ドメインに対応するようになれば、もはやドメイン取得問題であり、はてなのサービスを超えたインターネット一般の問題になる。そのような先の展開を考慮すれば「はてなブログサブドメイン=はてなID」という縛りを導入する事はあまり意味が無い。

■オープンベータへ移行する前に、もっと説明すべき

 しかし、だからと言って「サブドメインはユーザーIDとは別のもの」の一言で済ませるのは問題だ。


 10周年を迎えた はてなのサービスのドメインは一貫して、規則性があった。

はてなのサービスは大きく2つのサービスに分かれています


基本サービスと個別サービスの違い


はてなのサービスは大規模な基本サービスと、中規模の個別サービスに分かれています。基本サービスにはアルファベット一文字のサブドメインが付けられ、多くのユーザーにとって基本サービスとなるよう開発が続けられています。個別サービスは複数文字のサブドメインとなっており、基本サービスの補助的な役割や、少し用途が限定されたサービスになっています。特定の目的を持った人が使いやすいサービスとなるよう開発が行われています。



 だからユーザーは長年の間、「●.hatena.ne.jp/ユーザーアカウント名/」というURL形式に見慣れてきた。それが、はてなブログで変わろうとしている。はてなブログは、「hatena.ne.jp」という、はてなのサービス共通ドメインを使わない新機軸のサービスだ。これによりサービス共通ドメインを利用する事で生じていた問題点が解決される。

f:id:mame-tanuki:20120115234037p:plain


 はてなブログJavaScriptが解禁され、はてなダイアリーとは違いブログパーツが自由に貼れるようになるのも、はてなブログが「hatena.ne.jp」という、はてなのサービス共通ドメインを使わないからだ。


 そういう大きな変更点の一端に「はてなブログサブドメイン≠はてなID」問題はある、と私は理解している。はてなブログのそういう展望、背景を語らずに「サブドメインはユーザーIDとは別のもの」の一言で回答しては、ユーザーは納得しないと思う。もっとユーザーに説明すべきだ。
 説明の絶好のチャンスは、著名なid:dankogai氏が問題を提起した 時だった。この記事に応じる形で、id:jkondo氏なり、はてなブログ開発の責任者であるid:onishi氏なりが語るべきだったと思う。少なくとも、一般公開する前に説明すべきだった。

 はてなのサービスを使い慣れていない新しいユーザー層を開拓する上でも、分り易い説明は必要だと思う。


 さて、サービス共通ドメイン「●.hatena.ne.jp/」を使わない はてなブログは、はてなのサービスの中で画期的なものになるだろうし、そうなって欲しいと一人のユーザーとして思う。サービス共通ドメイン「●.hatena.ne.jp/」を使う従来のサービスは、京都の街で例えるなら碁盤の目に区切られた「洛中」であり、はてなブログは「洛外」と言えるのではないだろうか。古い構造の縛りの無い「洛外」である はてなブログは、ちょうど近世以降に京都の街の玄関口として発達した伏見の町のように、古都はてなに新しい住人、新しい情報の流れの受け口になるかもしれない。そんな事を妄想する「はてな洛中・洛外論」は、またいずれ別記事で。

はてなブログβは「モデルハウス見学」か「鉄骨運び」か

 現在はてなブログは絶賛ベータテスト中。テストに参加するユーザーは、言わば「人柱」だ。未完成のサービスでどんなトラブルに巻き込まれるか分らない。例えば、投稿したブログ記事が全て消えるかもしれない。しかしそれは、サービスの完成度を高めるための尊い「犠牲」なのだ。そういう覚悟で参加すべきだ。

 例えるなら、今すぐにでも引っ越せるようなモデルハウスの完成度を期待してはいけない。ヘルメットを被らされ、鉄骨を運ばされるくらいのバリバリ工事中のマンション的な完成度を覚悟すべきだ。

■ユーザーが考える完成度50%と、はてな社が考える完成度50%との間に大きなズレがあるような

 とは言え、ユーザーを招き行われるベータテストというのは、一般的にはある程度の完成度のものをユーザーに評価してもらうものだと思う。

開発中のソフトウェアやネットサービスの発売(あるいは正式公開)直前の版をユーザに提供し、実際に使用してもらって性能や機能、使い勝手などを評価してもらうテスト。

 しかし現状、はてなブログβは正式公開直前版の完成度には程遠く感じる。

 どちらかと言えば、一般に言うベータテスト版と言うよりもアルファテスト版と呼ぶのが適切かもしれない。

ソフトウェアやハードウエアの開発初期版のこと。特に、製品版(無償ソフトウェアの場合は正式配布版)のごく開発初期のものをテスト目的で配布し、性能や機能、使い勝手に対する要望を受け入れるための版と言える

 たしかに、はてなには「50%の完成度でサービスを出す」というリリース方針がある。

 しかし現状のはてなブログβは、ユーザーが考える50%の完成度にも達していないように思える。

■千人乗っても大丈夫!

 ユーザーが考える完成度50%と、はてな社が考える完成度50%との間に大きなズレがあるように思う。あるとすれば、そのズレはどこで生じたのだろう?

 個人的に、はてなブログの特色をまとめていて感じたことがある。

 それは、はてなブログは技術面でこれまでのはてなのサービスとは一線を画すものになりそうだ、ということ。
 例えば、はてなブログは、はてな初のAWS上で動くサービスとのこと。

f:id:mame-tanuki:20111128235257p:image


marqs
Akinori YOSHIDA
はてなブログはAWSで動かしてるので、設計指針がだいぶ違ったりします。 / “JAWS-UG@Kyoto で発表してきました - wtatsuru's blog” http://t.co/iltCdOvt
(2011/11/14 12:18:13)
link

 500人や1000人という単位での段階的な新規ユーザー招待は、この新しいインフラ設計の耐久テストを主眼にしているのではないだろうか。

 だとすればますます、はてなブログβは一般に言うベータテストというよりはアルファーテストと呼ぶに相応しいかもしれない。

最近では多人数オンラインゲームなどで参加人数を限定するなどしてアルファ版のテストを行うことが多い。これはプログラムのバグフィックスという目的もさることながら、オンラインゲームを運営するの負荷テストの意味合いも大きいとされている。

■新機軸のブログサービスとしての完成度と、はてなのサービスの新たな骨組みとしての完成度と

 加えて、はてなブログは「x.hatena.ne.jp」という、はてなのサービス共通のドメインを使わず、外部のドメインが使用可能になっている。

 自分は技術的な事はよく分らないが、これはかなり大きな変化に思える。想像するに、はてな社内の開発サイドから見ると、はてなブログというのは新機軸のブログサービスというよりも、はてなのサービスの新たな骨組みのプロトタイプという意味合いの方が強いのではないだろうか。
 したがって、はてな社内からの視点では「はてなのサービスの新たな骨組みとしての完成度」という尺度になるし、一方でユーザーは当然ならが「新機軸のブログサービスとしての完成度」という尺度で見る。それが、はてなブログβの完成度に対する評価のズレが生じる原因になっているのではないだろうか?

 例えば、新築マンションの見学会に行ってみたら、そこはまだ鉄筋丸見えの工事現場で、案内人から「どうです、この斬新な耐震設計!あ、そこまだ床が無いですから。エレーベータ?無くてもいいんじゃないですか?とりあえず非常階段使って下さい。完成予想図?今考え中です」と熱弁されたみたいな。