はてなブログは、どのようなユーザーが使う事を想定したブログサービスなのだろう?
moetsukiro
萌尽狼はてなブログ
結局はてなブログって何がしたいの?
俺はてっきり旧態依然としたはてなのイメージを払拭して仕切り直すために始めたものだと思っていたから、
最初はものすごく応援していたんだけれども、マーケティングリサーチがなってないというか、
誰に対して便利なサービスかがイマイチ見えてこない状態が続いているというのは、
突然新機能リリースして罵られる昔のはてなより悪い。
はてなワールドのようなどうしようもないサービスなら笑って済む問題なんだけど、
有料プランまで出てきてこの体たらくでは笑ってみてられない。
はてなワールドはよかったよ!未来を感じた!!
(2012/02/27 10:46:18)link
確かに、「誰に対して便利なサービスか」が分り辛いかも。
■はてなブログ開発ディレクターが語るターゲットユーザー像
はてなブログβ版開始直後である昨年11月、はてなブログ開発ディレクターである大西氏( id:onishi )は自らのブログで次のように語っている。
新しいサービスを出しますって言うと「ターゲットユーザーは」「どんな人に使ってもらいたいですか」ってなりますけど、ターゲットユーザーを絞ったブログをやりたいわけではありません。
全生命体に届けたい!は、まあ無理でも、全人類に!くらいを目標にしたいです。
万人が使えるブログサービス。素晴らしい!
確かに、はてなブログのトップページにはこう書かれている。
はてなダイアリーに慣れ親しんだ方はもちろん、初めてブログを使う方や、ほかのブログサービスを使っている方など、みなさんに快適にご利用いただける工夫をしています。
とは言え、タテマエはそうでも、実際はターゲットユーザーが想定されているのではないだろうか?
■はてなブログのデザイナーが語るターゲットユーザー像
大西氏のブログ記事から約1ヵ月後、はてなブログのデザイン全般を担当した上田氏( id:ueday )が自らのブログで、「Hatena::Staff Advent Calendar 2011」 企画の一環として書かれた記事の中で、はてなブログでユーザーが選択できる4種類のデザインテーマについて次のように語っている。
各テーマでは、そのテーマを使うであろうターゲットをなんとなく想定しています。Epicはデフォルトなのでクセがなく万人受けしそうな感じ、Aeroは背景画像カスタムしたい人向け、Naturalは女性、Bordeauxは長文書くユーザーを想定しています。概ね狙ったユーザーに使っていただいているようなので嬉しいです。
この文章から、はてなブログを利用するユーザー像として、女性ブロガー、ブログのデザインにこだわるユーザー、長文ブロガーという具体像が想定されていた事が伝わってくる。
■はてな社長が語るターゲットユーザー像
大西ディレクターのブログ記事から10日ほど後の昨年11月、はてな社長の近藤氏( id:jkondo )が、自らのブログでブログ論を語り注目を集めた。そこではブログの具体的な用途として次のように語られている。
そんな難しい内容ばかりではありません。たとえば旅行の記録は、写真と文章をまとめて残しておきたいわけです。子供の成長を毎日育児日記に記録したりするにはブログが必要になります。
旅行記や育児日記など、日記的なものを書くユーザーも、ここでは想定されている。大西ディレクターが語った万人向けのブログサービスのイメージに近い。
しかし、それから約2ヶ月後、想定ユーザーはかなり絞り込まれたようだ。
先月中旬、ソーシャルインタビューサービス「ザ・インタビューズ」 で質問に答えた近藤社長は、新たなブログ論を語った。
「ブログ」ってなにかな、とよく考えるのですが、最近「プレゼン」みたいなものだと感じます。
人前で自分の話をするのがプレゼンだとすると、それをインターネット上で文章で行うのがブログではないかと思います。
すべての人が、人前でプレゼンをしたりするわけではありませんが、自分が普段やっていることや専門にしていることなどを、人前でプレゼンする機会がある人も多くいます。ブログを書く人も、人類すべての人が書くものではないですが、だいたい「プレゼンする人」くらいの人が書く人としての想定ユーザーではないかと思っています。
「プレゼン」という言葉からは、2ヶ月前に語られたブログの想定用途である旅行記や育児日記は想起できない。
また、「だいたい「プレゼンする人」くらいの人が書く人としての想定ユーザー」だとすれば、そこからイメージされるのは、やはり年齢が30代以上のギーク層男性という従来に言われてきた「はてなダイアリーのメインユーザー像」だ。はてなブログβ版開始直後に語られていた「誰でも使えるブログサービス」というコンセプトと比べて、ターゲットユーザーがグッと絞られた印象を受ける。
■予想よりユーザー層の半径が広まらず、基本軸に回帰している?
昨年11月下旬に近藤社長と大西ディレクターが答えているインタビュー記事で、こんな言葉が紹介されている。
「ダイアリーと『はてなブログ』のユーザー層を分けて考えてはいません。センターは同じで、半径を広げたい。半径を広げられない理由としてシステムが難しかったのなら、サービスで取り除くというのが、『はてなブログ』です」と近藤社長。
大西さんも「はてな全体のユーザーは男性が7割。ダイアリーは30代の男性が中心で、ギークな人や文章を書く人が使うというイメージがあるのも事実ですが、普通の日記をつづっている人も多い。そういう層を増やせれば」と話す。
この回答からは、はてなブログのユーザー層をどんどん広げていきたいという意気込みが感じられる。「普通の日記」的なブログを書くユーザーもより一層取り込みたい。まさに目指すは、万人向けのブログサービスという感じだ。
しかしそれから2ヶ月後に「ザ・インタビューズ」で近藤社長が語っているブログ観とブログユーザー像は、逆にユーザー層をどんどん絞り込みたい、基本軸に立ち戻りたいという方針へと大きく方向転換している印象だ。まず、はてなダイアリーのメインユーザーと思われるギーク層をはてなブログに取り込みたい。彼らを核となるユーザーとしたい。そして、はてなブログで彼らの作った物や技術論を大いに「プレゼン」して欲しい、という感じだろうか?
はてなブログβ版が開始してから、もうすぐ4ヶ月になる。まずは、「プレゼンする人」というかなり絞り込んだ想定ターゲットユーザーを基本軸として固める所まで後退して仕切り直し、軸が固まった所で再びユーザー層の拡大へと乗り出すつもりなのかもしれない。
【関連本】『「統治」を創造する』
塚越健司氏( id:Seiji-Amasawa )が書いているウィキリークス論が目当てで買った本だけれど、斜め読みすると、イケダハヤト氏が「オープンガバメントとサービス」というテーマで一文を書いている。そこで、「使ってもらえるサービス」の作り方として、こんなことを書いていた。
ウェブサービスを作る上で重要なのは、ユーザーから「これなら実際に使う」という言葉を引き出せた時始めて、本格的に開発を開始することである。わたし自身の体感から言っても、このヒアリングはターゲットユーザーで30〜50名程度の母数を必要とするだろう。
イケダハヤト「情報の「組み合せ」がビジネスを生み出す」『「統治」を創造する』p298~299
「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会
- 作者: 谷本晴樹,淵田仁,吉野裕介,藤沢烈,生貝直人,イケダハヤト,円堂都司昭,西田亮介,塚越健司
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2011/12/21
- メディア: 単行本
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